海外に在住しているAさん。
日本には高齢の父がおり、兄弟が財産管理などの世話を行っていました。しかし、兄弟が亡くなったことにより、相続手続きや父親の財産管理等、さまざまな問題が起こってしまいました。
困り果てて当事務所にご相談にいらした次第ですが、1か月しか日本に滞在できないとのこと。
そこで当事務所で、お父様につき成年後見人選任の申立てをいたしました。厳しい時間制限がありましたが、相談から三週間弱で申し立てができました。また裁判所の協力もあり、滞在中に審問(裁判所の面接)を終えることができました。
その後Aさんは海外に戻られましたが、当職が成年後見人に選任され、お父様の財産管理やご兄弟の相続手続きを行いました。
成年後見人とは
認知症などで判断能力が低下した方のために、代理人となって財産管理等を行う人のことを「成年後見人」といいます。
成年後見人は家族等(本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長など)の申立てにより、家庭裁判所が適切な者を選任します。ご親族がなるケースが多いですが、家族間で争いがあったり管理財産が高額になったりすると、専門職である弁護士や司法書士が選任されることもございます。
申立はどのようにするか
ご本人(被後見人)の住所の管轄家庭裁判所に申し立てを行います。
申立できる人は法律で定められており、ご家族が申立人となることが多いです。
また、申立ての際には下記の書類を提出します。「」のものは家庭裁判所の書式があり、管轄ごとに異なりますのでご注意ください。事案によりさらに書類が必要となるケースもございます。
- 「申立書」
- 「診断書」
- 「診断書付票」
- 「本人情報シート」
- 「財産目録」
- 「収支状況報告書」
- 「親族関係図」
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票(もしくは戸籍の附票)
- 本人の登記されていないことの証明書
- 後見人等候補者の住民票(もしくは戸籍の附票)
- 愛の手帳等のコピー
- 親族の「同意書」
- 「申立事情説明書」
- 「後見人等候補者事情説明書」
- 財産関係の資料(預貯金通帳のコピーなど)
- 収入や支出に関する資料のコピー
- 収入印紙や郵便切手
海外在住でも申立人になれるのか?
結論としては、海外在住のご親族でも成年後見人選任の申立人になることができます。
ただ裁判所から申立人への書類の送達がありますので、国内での送達受取人を指定しておくと手続きがスムーズに進むかと存じます。本ケースでは、書類作成した司法書士が送達受取人となる上申書を提出いたしました。
また通常は裁判所での面接がございますので、その時に帰国する必要があるのか、管轄裁判所に事前に確認しておく必要がございます。