韓国籍であるお父様が亡くなられたSさん。日本に父親名義の不動産があったため、相続による名義変更の登記が必要となりました。
なお遺言はなく、遺産分割協議により長男であるSさんに名義を変更したいとのご希望です。
在日韓国人の相続登記の進め方
まずは、相続人が誰かを確認する必要があります。
亡くなられた方が韓国籍であった場合、相続は大韓民国民法が適用されます。なお、本法律は1990年に改正しており、亡くなった日により現在の民法を適用するか、旧相続法を適用するか異なってきますので、古い相続の場合は注意が必要です。
手続の流れとしては、次のように進めました。
1.必要書類の収集
お客様にもご協力いただき、日本・韓国において、必要となる戸籍謄本等の証明書類を取得いたしました。
韓国では2008年に施行された法律により、戸籍制度が廃止され、新しく個人別家族関係登録制度が設けられました。韓国で取得できる証明書としては、「家族関係証明書」、「基本証明書」、「婚姻関係証明書」、「養子縁組証明書」、「親養子縁組証明書」があげられます。
2.書類の和訳
外国語の書面は、そのままでは法務局に提出することができません。和訳を作成して添付します。
なお、翻訳者の資格に制限はないため、誰が翻訳してもかまいません。
3.相続人の確定
日本と同じく、長男Sさん等の子ども(直系卑属)が第一順位となります。ただ日本と大きく異なっていたのが、代襲相続に関する部分です。日本では代襲相続するのは直系卑属のみですが、韓国では配偶者も代襲相続することがあります。
4.遺産分割協議
今回は長男Sさんが不動産を相続するため、他の相続人には遺産分割協議書に署名捺印をいただきました。