「先日、夫が亡くなり、遺産分割の協議を行いたいと思っています。
相続人は、妻の私のほかに、小学生の娘が二人います。遺産分割の手続きはどのように行えばよろしいでしょうか。」
未成年者が遺産分割協議を行うには、法定代理人が代理するか、あるいは法定代理人の同意が原則として必要です。
この法定代理人には通常、親権者がなりますが、子の父が亡くなった場合、母のみが親権者となり法定代理人となります。
しかし、遺産分割協議は共同相続人の間で被相続人の遺産をどう分けるかを話し合うもので、共同相続人の利害が対立する行為です。したがって、ある相続人が他の相続人を代理して遺産分割協議をすることは許されません。
そして、共同相続人の中に未成年者がいる場合には、たとえ親権者であっても、子である未成年者の代理をすることは、その未成年者の利益を害するおそれがあり、許されないことになります。したがって、母親が未成年者である子を代理して遺産分割の協議に参加することは許されません。
このような場合、親権者はその子のために「特別代理人」を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないことになります。
特別代理人の選任申立ては、子の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
未成年の子が二人いれば、それぞれについて特別代理人を選任しなければなりません。
特別代理人には、未成年の子のおじ・おばなど相続人でない親族が選任されたり、場合によっては弁護士が選任されることがあります。
未成年の子がいるにもかかわらず、特別代理人の選任をしないでなされた遺産分割協議は、無権代理行為として、無効になるものとされています。
なお、未成年の子が成人した後に遺産分割協議を追認すれば、そのままの状態で有効になります。